歯科医師国保と協会けんぽの違いは？【わかりやすく解説！】

求人票を見ていると、加入している健康保険が歯科医師国保と書いてあったり、協会けんぽと書いてあったりしますよね。

加入する健康保険が、歯科医師国保か協会けんぽ・東京都歯科健康保険組合によって内容が大きく違うんです。

歯科医師国保で最大の組合は全国歯科医師健康保険組合

歯科医師国保とは

歯科医業で働いている人たちで作られた団体です。
正式名称は【歯科医師国民健康保険組合】です。
これに加入することで、ケガ・病気・出産・死亡に関して国民健康保険法の規定により必要な保険給付が受けられます。

加入者は？

・歯科医師会に加入する歯科医師
・正社員4人以下の医院に勤務する従業員
・その家族

一番大きい組合が『全国歯科医師健康保険組合』です。

下の表の地域にある歯科医師会は『全国歯科医師健康保険組合』に加入しています。

筆者

下の地域にある医院で歯科医師国保加入の場合は、『全国歯科医師健康保険組合』に加入している可能性が高いです。

この地域以外の都道府県は、それぞれが独立して歯科医師健康保険組合を設立しています。

実際に表にするとこのようになります。

以下のリンクをクリックするとそれぞれの歯科医師健康保険組合のホームページにとべます！

勤務先によって加入している組合が違いますので、求人票や保険証を確認してくださいね。

協会けんぽは、中小企業に勤める多くの人が加入している保険協会

協会けんぽとは

平成20年10月1日に設立され、日本で一番大きい保険者です。
正式名称が『全国健康保険協会』です。

加入者は？

・中小企業に勤める方とその家族

筆者

加入者数は4,000万人にのぼります！

原則として医療法人や、スタッフが5人以上の個人開業クリニックは『協会けんぽ』に加入します。

東京都は東京都歯科健康保険組合がある

東京都は『歯科医師国保』ではなく『東京都歯科健康保険組合』です。

歯科診療所や東京歯科医師会・郡市区の歯科医師会で働く人たちを対象とした健康保険組合です。

保険料は勤務先と折半となります。

筆者

『折半』とは半分このこと。

勤務先とあなたとで保険料を半分ずつ支払います。

では、具体的に『歯科医師国保』と『協会けんぽ』の違いをみていきましょう。

保険料の違い

歯科医師国保の場合

歯科医師国保は保険料の負担が一律です。

昇給してもしなくても関係ありません。

歯科スタッフという枠組みで、決められた保険料が徴収されます。

また、勤務先と折半ではなく全額自己負担です。

筆者

月給30万円のスタッフと、月給20万円のスタッフでも保険料は同じです。歯科医師の場合は少し異なりますが、ここでは省きます。

協会けんぽ・東京都歯科健康保険組合の場合

協会けんぽはお給料と地域によって保険料の負担が変わってきます。

お給料によって異なることは分かりますが、『地域によって』も異なります。

この『地域』というのは居住地ではなく、勤務先がどこの協会けんぽの支部に申請したか、によります。

大阪に住んでいても、京都支部に申請していれば京都の保険料が適用されます。

筆者

全国に分院がある歯科医院でない限り、だいたいは勤務先がある地域が適用されるでしょう。保険証でどこの支部に属するのかみてみましょう。

下に『協会けんぽ』の保険料の表があります。

月給が25万円から27万円の場合で、令和4年度の資料になります。

筆者

保険料は地域によって微妙に異なりますね。

保険料負担の違い　まとめ表

扶養家族の概念がない

歯科医師国保の場合

歯科医師国保には「扶養家族」という概念がないので、加入人数分の保険料が徴収されます。

自分だけなら1人分の保険料だけですみますよ。

しかし、自分の子どもや親も加入するとその人数分徴収されるのです。

筆者

扶養家族がいない場合はあまり気にならないかもしれません。

協会けんぽ・東京都歯科健康保険組合の場合

協会けんぽ・東京都歯科健康保険組合は世帯ごとに保険料が徴収されます。

扶養家族の人数によって保険料が変わることがありません。

扶養家族の取り扱い　まとめ表

傷病手当金の額や条件が違う

傷病手当金とは加入者がけがや病気などで仕事ができない場合、療養中の生活保障として支払われます。

国保の場合、傷病手当金は任意給付となります。

協会けんぽのように必ず支給しなくてはいけないものではありません。

全国歯科医師健康保険組合の場合

全国歯科医師健康保険組合は入院した翌日から1日1,500円が支給されます。

なお、同一年度内で90日が限度です。

筆者

歯科医師国保の場合は入院している間が支給期間となります。

全国歯科医師健康保険組合以外の歯科医師国保の場合

協会けんぽ・東京都歯科健康保険組合の場合

協会けんぽと東京都歯科健康保険では4日以上、ケガや病気で休んだ場合に支給されます。

筆者

協会けんぽは入院の有無は問われないんですね。

業務外が原因でケガや病気で休んだ日から連続で3日間のあと、４日目以降の仕事につけなかった日に対して支給されます。

だいたい日給の2/3が支給される計算になります。

過去12カ月に満たない場合も支給されますよ。

各都道府県や年度で異なりますが、大体の都道府県では25万円～27万円のお給料を貰っている方で標準報酬月額は26万円として計算されます。

過去12カ月標準月額に変化がなければ支給額は以下のようになります。

26万円÷30日×2/3＝5,806円

月額25~27万円のお給料の方は1日あたり5,806円支給され、最大1年6カ月支給期間があります。

まとめ表

『全国歯科医師健康保険組合』と『協会けんぽ』・『東京都歯科健康保険組合』の傷病手当金の比較はこちらです。

出産育児一時金に違いはない

出産育児一時金は被保険者が出産（妊娠4カ月以上の流産・死産含む）した場合、一児につき50万円が支給されます。

この出産育児手当金は歯科医師国保・協会けんぽ関係なく支給されます。

特別手当金が加算される組合もある

出産育児一時金の規定が他にもある歯科医師国保

秋田県歯科医師国保は＋20,000円
埼玉県歯科医師国保は＋50,000円
静岡県歯科医師国保は＋30,000円
東京都歯科健康保険組合は＋22,000円（扶養家族が出産した場合も含む）

筆者

出産育児一時金は一律50万円ですが、産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産すると48万8000円になります。

出産手当金

出産手当金とは、産前6週間、産後8週間出産を理由に業務をしなかった場合に貰える手当です。

全国歯科医師健康保険組合以外の歯科医師国保の場合、支給されないようです。

協会けんぽ・東京都歯科健康保険組合は支給されます。

全国歯科医師健康保険組合の場合

全国歯科医師国民健康保険組合に加入している場合は、１日1,500円、90日間を限度に支給されます。

最大で135,000円になりますね。

支給対象者は、1年以上組合員である必要があります。

まゆみさん

他の歯科医師国保では、出産手当金が支給されるという記載がホームページにはありませんでした。

『協会けんぽ』と『東京都歯科健康保険組合』加入の場合は支給されます。

協会けんぽ・東京都歯科健康保険組合に加入の場合

協会けんぽ・東京都健康保険組合に加入の場合は傷病手当金と同様の計算方法になります。

筆者

ちょっと分かりにくい…。

筆者

傷病手当金と似ていますね。

支給される期間は出産日（予定日より後に出産した場合は出産予定日）より前の42日間（多胎妊娠の場合は98日間）と出産日の翌日から56日間です。

この期間会社（医院）より給料の支給が無かった場合に出産手当金が支払われます。

まとめ表

厚生年金の加入義務の違い

歯科医師国保の場合

歯科医師国保の場合は正社員4名以下であれば厚生年金への加入義務はありません。

厚生年金に加入していなければ国民年金を自分で納めていきます。

歯科医師国保に加入している場合は、国民年金に加入するのか厚生年金に加入するのかをチェックしておきましょう。

協会けんぽ・東京都歯科健康保険組合の場合

協会けんぽ・東京都歯科健康保険組合に加入している歯科医院は、厚生年金も加入する決まりになっています。

雇用保険・労災保険は必ず入る決まりなので、協会けんぽ・東京都歯科健康保険組合に加入する医院は『社保完備』となります。

まとめ表

全体のまとめ

保険料や保険内容は、保険組合や保険協会によって異なります。

傷病手当金や出産手当金など給付金は、『協会けんぽ』・『東京都歯科健康保険組合』の方が手厚くなっています。

保険料の負担は、歯科医師国保は全額自己負担となっていますが、医院によっては補助が出る場合があります。

その場合保険料の負担を減らすことができますね。

法律で決められている絶対給付に関しては『歯科医師国保』も『協会けんぽ』も変わりません。

また、歯科医師国保でも組合によって健康診断や予防接種の補助を受けることも可能ですよ。

健康保険について知りたいな、と思ったときにこの記事が役に立ったら幸いです♪